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桐たんす、和家具からテーブル、机までお造りする職人です。また漆塗りの職人でもあります/指物師、漆塗師~京都の大東漆木工

漆塗り、漆を合わせて塗る

「漆を塗ろう」と思っても、すぐに塗れるというわけではありません。

 やっぱり、前もって、チョッと、色々と準備をしなければなりません。

朱漆を塗る

 こちらは、箪笥に「朱漆」を塗っているところですが…、、


漆塗り、透き漆と朱の顔料

 「朱漆」は、「透き漆(右側の茶碗の黒っぽい水飴のようなもの)」と「朱の顔料(左側の袋に入った赤い粉)」を混ぜて造ります。


漆塗り、透き漆と朱の顔料を混ぜる。

 こんなかんじで、根気よく漆の中に、顔料を練りこみます。


漆塗り、透き漆と朱の顔料を混ぜて、朱漆を造る

 よく混ざったら、紙や手板に試し塗りします。


漆塗り、いろんな透き漆と、朱の顔料の合わせ加減でいろいろな色の朱漆ができます。

 「透き漆」は、採れる場所や時期によって、性格が違います。「早く乾く」、「黒っぽい」、「粘っこい」、などなど…、

 もちろん「朱の顔料」もいろいろとあリますが…、


漆塗り、透き漆を試し塗りして、朱の顔料を加減して朱漆を造る

 それで、透き漆を試し塗りしたり…、、朱の顔料を加減してたりして、「乾き具合」など色々と試してみて…、

 そうして、やっと…、仕事に合う朱漆を造ることができます。。


漆塗り、そして、朱漆を漉します

 そして、和紙でその朱漆を濾して…、
 

朱漆を塗る
 
 塗って…、、


漆塗り、朱漆を塗って、乾いたところです。

 乾いたらこんなかんじです。

 「青い漆」や、「黄色い漆」も、漆と混ぜる顔料の色が違うだけで、似たような具合です。


漆塗り、透き漆

 ところで、「透き漆」ですが、採れる場所や、時期や、

 「ナヤシ(漆をかき混ぜて漆の粒を均す)」の時間や…、、

 「クロメ(木から採った漆を暖めながらかき混ぜて、水分を飛ばす)」の仕方によって、性格が変わります。


漆塗り、粘っこい透き漆

 こちらの透き漆は、大分粘っこいです。タレにくいですが、ベタッと広いところは塗りにくいです。


漆塗り、透き漆の試し塗り

  試しに塗ってみて、「タレ具合」を見たり、
 
  その他、「早く乾く漆」、「乾きの遅い漆」などあって、それも確かめます。

  早く乾くと楽なようですが、入り組んだ広いところや、夏場は、チョットと「ゆっくり目」に乾くほうが楽です。


漆塗り、透き漆 ツヤ加減

 「ツヤの具合」も、色々で…、それも試しに塗ってみて…、

 仕事に合わせて、いろんな性格の漆を混ぜ合わせて、、ブレンドして、使います。


漆塗り、透き漆 を濾して

 さて、透き漆ですが、顔料を混ぜずに、塗る場合もあります。

 まず何回か、濾して…、


漆塗り、濾した透き漆で、刷毛を洗う

 その「濾した漆」で、刷毛をよく洗って…、


漆塗り、透き漆を、朱の上に塗る

 例えば、こんな風に、朱の上に塗ると…、、


漆塗り、、朱の上に塗った透き漆が乾く

 乾いたら、こんな感じの、「透けたエンジ色」といいますか、「ワイン色」です。

 とろんと溜まった様な感じの塗りですので、「溜塗り」と呼びます。、


漆塗り、朱溜塗りの化粧箱、蓋をあけると鏡台になる

 同じように、、朱の上に透き漆を塗った「朱溜塗りの化粧箱」です。

 蓋をあけると鏡台になリます。


漆塗り、朱溜塗りの化粧箱、蓋を閉めたところ

 蓋を閉めるとこんな具合です。わざと色ムラを付けました。

 厚く透き漆を塗ったところは黒っぽく、薄く塗ったところは、朱色が目立ちます。。


漆塗り、黒漆を塗る

 こちらは、「黒漆」を塗っているところです。

 この「漆の黒色」は、「顔料」や、「カーボン(煤)」をまぜて造るわけではありません。

 この「漆の黒色」は、鉄と反応させて造ります。

漆塗り、黒漆下塗り

 木に鉄釘を打って、雨ざらしにしておくと、、鉄釘の周りが真っ黒な色になります。

 これは、木の樹脂分が、鉄に反応して、黒色になる訳ですが…、

 草木を煮だして造った、「草木染め」に使う煮汁も、同じように、鉄に反応して、黒色になリます。


漆塗り、箪笥の裏側、黒漆を塗る

 これを利用して、漆にちょっと、鉄の粉を入れて、黒漆を造ります。もちろん濾しますが…、。

 手っ取り早くは、漆に、塩化鉄を垂らして混ぜて造ります。

 
漆塗り、黒漆

  「黒漆」も、「透き漆」と同じように、仕事に合わせて、ブレンドして、使います。

  「ツヤの具合」、「粘っこさ」、「乾く早さ」などなど…、、「自分の使い勝手」に合わせます。

 
漆塗り、塗った黒漆が乾く

 塗った黒漆が乾いたところです。ウチでは、よく、下塗りに使いますが…、、


漆塗り箪笥の、塗った黒漆が乾いて金具をつける

 もちろん上塗りにも使います。


黒漆塗り箪笥の出来上がり

 黒漆を塗って、仕上げた、「黒塗りの箪笥」です。


 色々と、ご紹介させていただきましたが、

 ウチでは、こんな風にして、「天然の漆」を使わせて頂いております。



 
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 *この記事は、2015年2月2日の記事を、リニューアルしたものです。
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2015-07-04 : 漆塗り : コメント : 0 :
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プロフィール

 大東伸哉・おおひがしのぶや

Author: 大東伸哉・おおひがしのぶや
 京都で、 木工指物(指物師)と、
 漆塗り(塗師)をやっております。

 「京指物」 伝統工芸士
 大東漆木工 代表

 桐たんすや、水屋箪笥、机等、無垢の木で、和家具を造って…、漆をはじめ、天然の素材で、昔ながらのやり方で、仕上げております。
 
 桐箪笥や和家具の洗い修理、再生(リフォーム)や、漆の塗り直し等もしています。

 http://www.wakagu-ohigashi.com/

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