桐小箪笥、時代金具

大変、小さな桐たんすです。
桐小箪笥とか、桐の小引き出しとか言ったほうが良さそうです。
お客様のオーダーで、製作しました。

単なる四角い箱に見えますが、桐の小箪笥の金具を付ける前のものです。

桐材を組み付けて造った単純な箱のようですが、

ちゃんと、 引き出しを仕込んでいます。
、

こんな感じです。 金具を付ける前です。

金具を付けて仕上げた、桐の小たんすです。
色付けしたり、化粧したりせず、桐の木地のままその風合いを生かしました。

この小さな桐たんすに使った金具です。かなり古いものでだいぶ錆び付いています。
お客様が持っておられた、古い箪笥の金具です。

その時代物の金具を、サビを取って黒く塗り直して使いました。

お客様に描いた図面です。
幅36cm、高さ48cm、奥行き41cmの桐たんすです。

胴体は、8分(24mm)厚に挽き割って雨に打たせて乾かした桐の無垢材を21mmに製材して使っています。

胴板、棚板の細部と内側です。

引き出しは、前側の板は、胴板と同じように8分(24mm)厚に挽き割って雨に打たせて乾燥させた桐材を22mmに製材して使っていますが、

側板と先側の板は、引き出し内側の有効寸法を考えて、少し薄く、16mm厚にしました。

引き出しの側板は、柾目の桐の板を使っていますので、ほとんど狂いません。
引き出しの前板と側板は蟻組で組んでいます。専門的には、包蟻組と呼んだりします。

引き出しの前板も、さらに目の詰まった柾目の桐の板を使っていますので、ほとんど狂ったり、隙間が開いてくることはないと思います。

その断面を見ますと、貼物ではなく、無垢の一枚なりの桐の板を使っているのがわかるかと思います。
普通、桐たんすの前側には、厚さ4mm程度の薄い、柾目の板を練りつけた(貼り付けた)板を使います。
私は、貼ったりするのがあまり好きでないので、ウチでは、一枚なりの無垢の桐の板で使っています。

引き出しの底板は、板目の桐の板を使っています。柾目板よりも強度が出ます。

本体の、天板と胴板は蟻組で組んでいます。
難しく、専門用語を使うと、通し蟻組と呼びます。
断面を見ますと一枚なりの無垢の桐の板を矧ぎ合わせて使ってるのが分かるかと思います。

天板です。強度が出るように、板目の板を使っています。

横側です。同じように、板目で使っています。

小たんすの後ろ側です。
裏板は、厚さ3分(9mm)の板目の板を使っています。

引き出しを一つ、チョッと開けて閉めると、プ~と他の引き出しが連動して開いたり閉まったりします。

時代物の金具の様子です。 隅金具と丸環です。

錠前です。

持ち運びにも楽なサイズです。

お客様は、幼稚園の園長先生ですが、幼稚園の土蔵を潰すので、中にある古い箪笥の一部でも利用できたらとのことでした。
それで、古い金具を利用して、桐で小たんすを造りました。

机の上に置いて、鍵とかチョッと大事なものを入れるのに使われるそうです。
丈夫で、使いやすそうな、桐の小箪笥、小引き出しです。
お問い合わせは、こちらです。
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