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桐たんす、和家具からテーブル、机までお造りする職人です。また漆塗りの職人でもあります/指物師、漆塗師~京都の大東漆木工

職人の手先、手道具

職人の指先

 私の指先です。

 指先の長い、器用そうな手先とは、正反対です。


 子供に、「先っぽをぶつ切りにしたような指やなあ。」と言われたこともあります。


職人の手先

 ただ、小学生の頃、図工の時間が好きで、先生によく褒められました。

 でも、「上手い」とはあまり言われませんでした。

 大抵は、「発想が面白い」とか、「元気があってよろしい」とかいった言われ方でした。


玄能を使う
 
 職人は、手先が器用であることに越したことはありません。

 しかし、職人は、手先や、指先で仕事をするわけではありません。


 職人の手先は、トンカチであったり、


鋸を使う

 鋸であったりします。

 こういった手で使う道具が、職人の手先になります。


 
柄と別に玄能を買う

 ですから、私共職人は、道具に、ほんのちょっと、気を使います。

 例えば、トンカチ(金槌、ゲンノウ)は、玄能と柄を別々に買って、好みに合わせて、太めの柄を削って据えたり、

 
鋸の刃に柄をすえる

 鋸も、高い物は買いませんが、鋸刃だけ買って、好きなように柄を造って仕込んだりします。


鑿の刃

 こちらは、鑿です。

 仕事によって刃の研ぎ角を変えます。
 

玄能で鑿を叩く

 こんな感じで使います。


鉋で削って板を作る

 ウチの仕事では、鉋は、よく使います。

 鉋で削って、材料や、板を造ったり、


鉋で削って引出しを調整する

 桐たんすの引出しや、引戸など鉋で削って、調整して、仕込んだりします。

 こういう作業は、どうしても、鉋という、手道具に頼ることになります。


鉋を掛けて表面を仕上げる

 又、組み付けた物の表面を仕上げたりと、こういったことも鉋などの手道具が向いているようです。


鉋の刃だけ買って、鉋台にすえる

  鉋も、鉋の刃だけ買って台の長さや、刃の仕込み勾配など、使い勝手に合わせて台を別に誂えて、仕込みます。

 鉋などの刃物は、案外、消耗品ですので、そんなに高級品ではなく、実用品の、良い物を買います

 気に入った道具ほど、よく使うので刃がチビてしまいます。


特殊な鉋や鑿やノコギリ

 丸に削るカンナや丸い鑿、ちょっと変わった形の鉋や鋸なども、ちょっとした時使います。


漆のヘラを使う

 漆塗りに使うヘラです。
 
 ウチでは、漆塗りも、自分でしますので、このような漆塗りの道具も使います。


漆刷毛を使う
 
 漆塗りに使う漆刷毛です。

 人の髪の毛でできています。

 漆刷毛を造る職人さんは、今はもう、日本に2人しかおられません。


漆刷毛を削り出す

 漆刷毛は、こんな風に削り出して使います。鉛筆と一緒です。

 こんな包丁や、小刀や鉋で、削り出し調整します。 
 

漆箆を削り出し調整

 漆箆も同じように、削り出して、しなり方を調整して使います。

 漆のヘラもハケも段々と短くチビてきます。職人の使う道具は、値が張りますが、消耗品です。

 
漆箆を使って布着せ

 ヘラは、布を貼ったり

 
漆箆を使って下地付け

 さらに漆の下地を付けたり、材料を混ぜたり、練ったりと、漆塗りには、欠かせない道具です。

 使い方によって、ヘラの調整も変わります。

 職人は、モノの大きさや、形によって、材料の割合を変えたり道具の調整を変えます。


漆刷毛を使って朱漆を塗る

 箪笥の引出です。漆刷毛を使って朱漆を塗っているところです。

 漆刷毛は、幅が1分から2寸まで(3mm~62mm)までありますが、ウチの仕事では幅の広い刷毛を多く使います。


漆刷毛を使って黒漆を塗る

 箪笥の本体に、黒い漆を塗っているところです。

 ウチでは、家具など大きいものや、広い面に漆を塗ることが多いです。

 ウチの仕事に合うように、漆の調合や、漆刷毛の調整をします。

 
漆塗りの箪笥の完成
 
 漆塗りの箪笥が出来上がったところです。

 木地の作業から、漆の作業まで、色々な道具をよく調整して使いますと、

 そしたら、器用でなくても、それなりの仕事ができます。


 
漆塗りの箪笥の内側

 いろんな手道具が、指先や、手先になって仕事をします。

 ところで、よく「えっ!、漆塗りまで、ご自分でなさるんですか!」とか、

 「えっ!、木地も、ご自分で造られるんですか!」とか、びっくりして言われます。


漆塗りの箪笥の中は桐

 このブログの記事を書いている時も、テレビ局の方から電話があって、

そのことでびっくりされて、「えっ!本当ですか!」と何度も聞かれました。


「はい、木地から、漆塗りまで、自分でする、一寸ずれた、職人です。」
 
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2013-06-06 : 道具、機械、手技 : コメント : 2 : トラックバック : 0
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No title
こんばんは、大東さん。
職人仕事は見ることがないのでこのブログ、とても興味深く読ませていただいています。
確かに最初から仕上げの塗りまで一人で手がける職人さんは
むかしの分業の対極として新しい世代の仕事のやり方なのでしょうね。
子供の頃は山に入っては何度も漆にかぶれました。
毎日勤めに出ている身ですのでかぶれる訳にはいかないのが残念ですが、
一度は拭き漆に挑戦してみたいです。

2013-06-10 20:09 : kaz URL : 編集
Re: No title

 仕事は、分業が、効率的で能率も上がると思いますので、私がちょっと変わっているのかなと思います。

 漆によるかぶれですが、体に、つかなければ、漆にかぶれることはありません。

 ただ、私などは、どうしてもそれが出来ません。

 気付かぬうちに、服や体につけて、かぶれてしまいます。

 また、漆が固まって、日を置かず、間なしに研ぎ、研ぎ汁や、研ぎかすにかぶれることもよくあります。



2013-06-11 23:19 :  大東 URL : 編集
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プロフィール

 大東伸哉・おおひがしのぶや

Author: 大東伸哉・おおひがしのぶや
 京都で、 木工指物(指物師)と、
 漆塗り(塗師)をやっております。

 「京指物」 伝統工芸士
 大東漆木工 代表

 桐たんすや、水屋箪笥、机等、無垢の木で、和家具を造って…、漆をはじめ、天然の素材で、昔ながらのやり方で、仕上げております。
 
 桐箪笥や和家具の洗い修理、再生(リフォーム)や、漆の塗り直し等もしています。

 http://www.wakagu-ohigashi.com/

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