水屋箪笥と宮大工さん

滋賀県大津市のお客様のお宅に水屋箪笥を納めました。

写真では、分かりにくいと思いますが、修理再生です。
写真のお客様の先々代の弟さんが宮大工をされていて、その方が17歳の時に、この水屋箪笥を造られたそうです。
その宮大工さんは、19歳で、早逝されたそうですが、以来、宮大工さんの水屋箪笥が代々使われ、伝わってきたそうです。

写真は、修理する前に撮ったものですが、
宮大工さんが、亡くなられて、すでに100年以上経つそうです。

大分傷んできたので、ここで直して、また、お子様やお孫様に伝えたいということでした。
「前側だけ残して、内側と、後側は、使いやすいように新しく造り直してください。そしたら、また伝わっていくと思います。」とのご注文でした。

まず、水屋箪笥を水を流しながら、よく洗います。洗って乾かしたところです。

さらに水屋箪笥を解体し前側だけ残し、前側に合わせて新しく檜材で框組(軸組)を造ります。
スミつけと加工の様子です。

前側の框組の古いホゾ穴を埋めたり新しくホゾ穴を開けて水屋箪笥の框組を新しく替えます。

横側の上下の框は、蟻組で、繋ぎます。

後框の組手の様子です。

前面をそのままにして側面と後側を新しく代えて、直ました。
普通、水屋箪笥の框組(軸組み)は、目の通った桧を使います。
そして、側面や、裏面や、天板や、棚板には、杉材を接ぎ合わせた板を使います。

水屋箪笥の裏板に使う杉板を接ぎ合わせているところです。

接ぎ合わせた杉板は鉋がけして仕上げます。

棚板には、ちょっと、程度の良い杉材を使いました。

水屋箪笥の引戸と敷居の修理の様子です。継ぎ足したり、部分的に代えたりして直して、調整します。

そのまま使う前側の古い框は、鉋がけをして、木地を整えます。

入り込んだ所等も、いろんな鉋や、刃物で仕上げます。結構いろんな道具を使うものです。

水屋箪笥の木地の修理が終わったところです。

そしたら、弁柄とすすを塗り、柿渋を引いて、えごまの油で拭き上げます。

弁柄塗りが、終わったら、戸板など組付けます。

建具をはめてみます。

この水屋箪笥の上側の引戸を開けたところです。
棚は、取り外し可能です。

下側も同様、棚は取り外し可能です。

可動式の棚を造って下さいということで、このような棚を別に造りました。

上側にもおけるように、同じような持ち運びの出来る棚を、3つ寸法を変えて造りました。

弁柄を塗って仕上げて再生した、宮大工さんの水屋箪笥です。
腕の良い宮大工さんに多少でもあやかれますように…
お問い合わせは、こちらです。
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コメントの投稿
No title
見事な再生です、ちょっと感動しました!
100年以上受け継がれ愛用されてるのも凄いですけど、
それを見事に再生させて、
宮大工さんの思いがまた引き継がれて行くのですね、
素晴らしい仕事でした、勉強になります。
100年以上受け継がれ愛用されてるのも凄いですけど、
それを見事に再生させて、
宮大工さんの思いがまた引き継がれて行くのですね、
素晴らしい仕事でした、勉強になります。
Re: No title
建築は、家具、木工とは違い、部材が大きく構造も複雑です。
宮大工さんの扱う社寺建築ともなりますと尚更です。
今回、私が、再生させて頂いた水屋箪笥は、宮大工さんが、仕事の暇な時に、片手間で造られたであろうと思います。
只々、頭が下がるばかりでございます。
2013-04-30 17:23 :
大東 URL :
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