黒目漆、溜塗り

前回、ヘラで下地をつけていた箪笥ですが、上塗りが終わって金具を付けて完成しました。

全体はこんな感じです。
溜塗り(ためぬり)といって、最後に、透漆(すきうるし)で上塗りした仕上げです。

これは生漆といって、下地に使います。
ほぼ、漆の木から絞ったままの成分で、水分が、たくさん混じっています。
それで、コーヒー牛乳のように白っぽく濁っています。

こちらは、透漆(すき漆)と言って、刷毛で塗るのに使います。
ちょっと見た感じ、透明感のある黒色です。
生漆をかき混ぜながら、お風呂の温度くらいに温めて、水分を蒸発させると、この黒っぽい透漆が、出来上がります。
この透漆を造る工程を、クロメると言います。
そして、透漆のことを黒目(クロメ)漆とも呼びます。

その透漆(黒目漆)を白い紙に塗りますと、飴色と言うか、褐色です。
これが、漆の色です。無色透明ではありません。
上は、色艶、乾き具合をみておりますが、それはさておき、

普通、この透漆に朱などの顔料を混ぜて刷毛で塗ります。

この箪笥も、朱を全体に塗りました。

しかし、透漆だけで塗ることもあります。
この箪笥は、朱漆が乾いてから、さらに、透漆(黒目漆)を塗りました。


上が朱塗りの状態で、下の画像は、その朱の上に透漆を塗って乾いた状態です。
色目の違いが良く分かるかと思います。
朱の上に透漆を塗りますと、透けたような、エンジ色と言うか、ワイン色に仕上がります。

とろんとして、漆が溜まったような感じです。その奥で、朱がほんのり赤い感じがして、漆の塗膜に微妙に奥行を感じます。

それで、このような塗りを、一般的に溜塗り(ためぬり)と呼びます。

3分艶の調合で塗って納めました。
写真では、分かりませんが、見る角度によって艶も色も色々に見えます。
しかし、漆本来の色と風合が、良く出るのが、溜塗りです。
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