一間幅の桐たんす

ウチの庭の木です。

町中ですけれど、ちょっとした森になっています。

朝から、クマゼミが、シュワッ、シュワッ、シャー、シャー、と、威勢よく鳴いています。

昼からは、アブラゼミが、ジリジリジリジリーと、時折、鳴いています。
昔はアブラゼミのほうが多かったですが、南方種のクマゼミに勢力を奪われたようです。

一間幅(180cm)の桐たんすです。
間箪笥(けんたんす)とも、呼びます。
修理、再生です。

何個かの小さなたんすが、組み合わさって一間幅(180cm)の大きな桐たんすになります。

何個かの内の一つの箪笥は、解体修理です。
傷んだ部分を新しく替えたり、

新しく桐材で造り足したりしました。

そして、組み直します。

こんな感じで、木釘を打ち直して組み付けます。

こちらは、支輪と言って、間たんすの一番上に乗るパーツです。
無くなっていたので、新しく桐材で造りました。

他にも、台輪や中輪等、無い物が多くあって、ずいぶん、造り足しました。

こんな感じです。

大分、手間がかかりましたが、あと僅かで仕上がります。
7月も今日で終わりです。
何はともあれ、暑中お見舞い申し上げます。
お問い合わせは、こちらです。
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2013-07-31 :
桐たんす洗い、修理(再生、リフォーム) :
コメント : 0 :
布目塗り、一閑塗り、法隆寺
今日は、布目塗りや一閑塗りといって、布や和紙を貼って、その凹凸を生かした漆塗りの話をしてみたいと思います。
内容的には、職人は、西岡棟梁が言っておられたように、奥深く、大らかに考えなければならぬのではないかといったお話です。

布を着せて、布目を生かした漆の塗り方を、布目塗りと呼びます。
和紙を貼って、その風合いを生かした漆の塗り方を、一閑塗りとか、一閑張りとか言います。

布目塗りです。
小引き出しの小さな箪笥です。

元々は、古い小引き出しの箪笥です。
引き出しの前側だけ新しく布を貼って、漆を塗り直しました。
本体の方は、古いままで、元々の布目塗りを生かしました。

塗り方や、使った布や、漆の色によって、雰囲気が変わります。

引出しを開けたところです。
引出しの内側は、桐を使っています。

この布目塗りの小たんすの引出し前板には、こんな凸凹のある布を着せて、漆を塗りました。
布目塗りの工程を簡単に紹介しますと…

米の粉を煮て作った、いわゆるデンプン糊と、生漆を混ぜたもので、布を貼り付けます。

よく混ぜて、練り合わせて使います。
これを糊漆と言ったりします。

糊漆で、布を着せたところです。
乾くと、糊漆は、こんな風に真っ黒です。

さらに、生漆を浸み込ませて、かっちりと布を固めます。

その上に、薄く、漆の下地を付けます。
漆の下地は、砥粉という細かい土の粉を水で練った泥と、生漆を混ぜて作ります。

よく練り合わせて使います。
この漆の下地を、錆とか、漆サビとか呼んだりします。

漆の下地も乾くと真っ黒です。
下地が乾いたら、軽く研いで、黒漆で下塗りをします。

黒漆の下塗りが乾いたら、また、軽く研いで、朱漆で中塗りをします。
朱漆は、朱の顔料と漆をよく練って混ぜて作ります。

こんな感じで、朱漆を塗りつけます。

乾くと、こんな感じです。
ちょっと、赤い色が、冷めると言いますか、濁った感じになります。
これは、漆の色が出るからです。

引き出しが、本体に収まるか、確かめてみます。

引き出しの収まり具合を見ながら、研ぎます。
今度は、よく研いで、下に塗った黒を研ぎ出します。

漆を研ぐのは、こんな炭を使います。
シャカシャカと、研げます。

研げたら、上塗りをします。
上塗りには、透明の漆を使います。漆は、透明でも、こんなコーヒー色です。
何回か濾して、ゴミを取ってから使います。

上塗りが、乾いたところです。
漆は、乾くと少し透明感が出ます。

金具を付けます。

黒い色の部分が、研ぎだしたところです。

本体と引き出しと、2種類の布目塗りです。

こちらは、和紙を貼って漆を塗った一閑塗りです。
竹のザルに和紙を貼り付けて、漆を塗りました。

裏側です。
裏側は、朱の上に透明の漆を塗り重ねました。

こんな和紙を、糊漆で、貼り付けて、漆を塗ります。

和紙は、手でちぎってぺたぺたと貼り付けます。
手でちぎって貼り合わせますと、和紙の繊維が絡み合って強くなります。

和紙と竹の風合いが、なんとなく出でいるような、もう少し出ていても良いような気もします。
和紙や布など、素材のデコボコ感を生かして、漆を塗るというのは、大変おおらかな発想です。
ただ、私ども、職人にとっては、大変難しいことです。

普通、職人は、平らに、均一に仕上げることに慣れているからです。
鉋がけでも、なるべく平らにツルンと削って仕上げて喜んでしまいます。
職人は、チョット曲がった木でも、自分なりの勝手な規準に合わせて、真っ直ぐに削って使ってしまいます。
私共、職人は、もっと、大らかに考え方を変えなければいけません。

長いこと、ワザワザ、雨に打たせて乾かした桐材です。
桐材屋さんに、
「仕事に合わせて木を買うたらあかん。
木に合わせて仕事をしたらええんや。
木は、自然のもやから大らかに考えんと仕方ないやろ 。」
と言われたことがあります。
ホントにその通りです。

そう言うと、法隆寺の西岡棟梁も、確か、
「人間の都合で、勝手に作った規準に合わせて考えて、作業しようとするからおかしなことになる。
木や自然に合わせて仕事をせなあかん。」
というようなことを仰られていたのを思い出します。

福井県の越前に、一寸知り合いの桐たんすの職人さんの兄弟がおられます。
自から、生えている桐の木を買って、それを切り倒して、さらに乾かして、桐たんすを造っておられます。
法隆寺や薬師寺と同じやり方です。
なんとなく、大らかで、奥深い感じのする方々です。
私も、少しでも、あやかれるようにと、職人の末席を汚しております。
内容的には、職人は、西岡棟梁が言っておられたように、奥深く、大らかに考えなければならぬのではないかといったお話です。

布を着せて、布目を生かした漆の塗り方を、布目塗りと呼びます。
和紙を貼って、その風合いを生かした漆の塗り方を、一閑塗りとか、一閑張りとか言います。

布目塗りです。
小引き出しの小さな箪笥です。

元々は、古い小引き出しの箪笥です。
引き出しの前側だけ新しく布を貼って、漆を塗り直しました。
本体の方は、古いままで、元々の布目塗りを生かしました。

塗り方や、使った布や、漆の色によって、雰囲気が変わります。

引出しを開けたところです。
引出しの内側は、桐を使っています。

この布目塗りの小たんすの引出し前板には、こんな凸凹のある布を着せて、漆を塗りました。
布目塗りの工程を簡単に紹介しますと…

米の粉を煮て作った、いわゆるデンプン糊と、生漆を混ぜたもので、布を貼り付けます。

よく混ぜて、練り合わせて使います。
これを糊漆と言ったりします。

糊漆で、布を着せたところです。
乾くと、糊漆は、こんな風に真っ黒です。

さらに、生漆を浸み込ませて、かっちりと布を固めます。

その上に、薄く、漆の下地を付けます。
漆の下地は、砥粉という細かい土の粉を水で練った泥と、生漆を混ぜて作ります。

よく練り合わせて使います。
この漆の下地を、錆とか、漆サビとか呼んだりします。

漆の下地も乾くと真っ黒です。
下地が乾いたら、軽く研いで、黒漆で下塗りをします。

黒漆の下塗りが乾いたら、また、軽く研いで、朱漆で中塗りをします。
朱漆は、朱の顔料と漆をよく練って混ぜて作ります。

こんな感じで、朱漆を塗りつけます。

乾くと、こんな感じです。
ちょっと、赤い色が、冷めると言いますか、濁った感じになります。
これは、漆の色が出るからです。

引き出しが、本体に収まるか、確かめてみます。

引き出しの収まり具合を見ながら、研ぎます。
今度は、よく研いで、下に塗った黒を研ぎ出します。

漆を研ぐのは、こんな炭を使います。
シャカシャカと、研げます。

研げたら、上塗りをします。
上塗りには、透明の漆を使います。漆は、透明でも、こんなコーヒー色です。
何回か濾して、ゴミを取ってから使います。

上塗りが、乾いたところです。
漆は、乾くと少し透明感が出ます。

金具を付けます。

黒い色の部分が、研ぎだしたところです。

本体と引き出しと、2種類の布目塗りです。

こちらは、和紙を貼って漆を塗った一閑塗りです。
竹のザルに和紙を貼り付けて、漆を塗りました。

裏側です。
裏側は、朱の上に透明の漆を塗り重ねました。

こんな和紙を、糊漆で、貼り付けて、漆を塗ります。

和紙は、手でちぎってぺたぺたと貼り付けます。
手でちぎって貼り合わせますと、和紙の繊維が絡み合って強くなります。

和紙と竹の風合いが、なんとなく出でいるような、もう少し出ていても良いような気もします。
和紙や布など、素材のデコボコ感を生かして、漆を塗るというのは、大変おおらかな発想です。
ただ、私ども、職人にとっては、大変難しいことです。

普通、職人は、平らに、均一に仕上げることに慣れているからです。
鉋がけでも、なるべく平らにツルンと削って仕上げて喜んでしまいます。
職人は、チョット曲がった木でも、自分なりの勝手な規準に合わせて、真っ直ぐに削って使ってしまいます。
私共、職人は、もっと、大らかに考え方を変えなければいけません。

長いこと、ワザワザ、雨に打たせて乾かした桐材です。
桐材屋さんに、
「仕事に合わせて木を買うたらあかん。
木に合わせて仕事をしたらええんや。
木は、自然のもやから大らかに考えんと仕方ないやろ 。」
と言われたことがあります。
ホントにその通りです。

そう言うと、法隆寺の西岡棟梁も、確か、
「人間の都合で、勝手に作った規準に合わせて考えて、作業しようとするからおかしなことになる。
木や自然に合わせて仕事をせなあかん。」
というようなことを仰られていたのを思い出します。

福井県の越前に、一寸知り合いの桐たんすの職人さんの兄弟がおられます。
自から、生えている桐の木を買って、それを切り倒して、さらに乾かして、桐たんすを造っておられます。
法隆寺や薬師寺と同じやり方です。
なんとなく、大らかで、奥深い感じのする方々です。
私も、少しでも、あやかれるようにと、職人の末席を汚しております。
お問い合わせは、こちらです。