桐たんすの風

三つ重ねの桐たんすですが、上置きの3ツ割の小引出しの真ん中の引出しを、開けて閉めると両側の他の2つの小引出しが開いてしまいます。

同じように、中置きの3段の引出しの真ん中の引出しを、開けて閉めると、上下の他の2つの引出しが開いてしまいます。
これは特別に珍しいことではなく、桐たんすに限らず、そこそこの精度で、気密性を持たせて、きちんと箪笥を造ると、どうしてもこのような事が起こります。
ちょっと使いづらいですが、実は、このような事で桐たんすの引出しを開けたり閉めたりすることができるのです。

桐たんすには、引出しが入る棚板の奥には、上のように空気が通る孔を開けています。

引出しを開けたり閉めたりすると、この孔から空気が行き来して、空気に押し出されたり、吸い寄せられたりするために、他の引出しが開いたり、閉ったりします。

この孔がないと、引出しを閉める時は、圧縮された空気の行き場がなく、大変閉まりにくくなります。
逆に、引出しを開けるときは、引出しが入る棚の奥は、真空状態になって開けることができません。

つまり、桐たんすの引出しは、全体が連動して、徐々に閉じたり、開けたりするように造られています。
桐たんすの一つの引出しを、開けて閉めると他の引出しが開いてしまうのは、ちょっと不便に感じる方も多いと思いますが、桐たんすの中を風が吹き抜けています。
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漆塗り、色々

手板と言って、言わば、漆塗りの見本です。
うちでは、桐や檜など、余った木で作ります。

手板ですが、漆を塗る前の下地を付けた段階です。
凸凹を作ってみたり、布を貼ったり、和紙をはってみたり、その他、色々な下地を造って試します。

たくさんの、漆の手板の下地ができました。
何かのついでの時に、5枚~10枚位造って試して見ます。

下地の上に、何回か漆を塗って仕上げた手板です。もちろん、この状態から、さらに漆を塗ったり、研いだり、磨いたりして、色々と試してみることもあります。
漆を塗るのも、黒漆や透き漆や朱色等、また艶消しや、艶を出す等、漆の種類や、色や、塗り方を変えて、色々試して見ます。

ということで、うちには、たくさんの、漆の手板がありますが、お客様に漆塗りの見本として見て頂いたり、作業の参考にしています。

こちらは、壁に貼って、漆のたれ具合を調べています。
うちでは、お椀など小物と違って、家具など大きなものに漆を塗っています。漆が柔らかすぎると乾かす時にタレが出ます。逆に硬すぎると、広い面が塗れません。
また漆の乾くスピード、時間も大事です。早すぎると塗れませんし、刷毛ムラが出来て安物のペンキを塗ったようになってしまいます。遅すぎるとタレができたり、溜まりができて、乾かない部分ができて困ります。
それで、漆の硬さ、または、柔らかさが、さらに乾く時間が、うちの作業に合うか見ています。

漆の硬さ、乾くスピードの他、漆の色等、温度と湿度によって変わりますので、いつも、試験して調べて、また調合し直したりして塗ります。
ということで、たくさんの漆の試験用紙がたまります。

漆の試験が終わったは紙は、まとめて、切って、貼って、データとして残しておきます。
お客様にも、漆の色見本として見ていただいています。
漆塗りは、限りなく、色々です。
色々と用意しておりますので宜しくお願い申し上げます。
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年の暮れと始まり

暮れの12月27日、オーダー頂いていました桐たんすを、滋賀県の草津のお客様のお宅に納品させて頂きました。

同じく暮れの29日、町内のお客様より、ご依頼頂いていました小箪笥の修理を仕上げて納品させて頂きました。

こちらは、三つ重ねの桐たんすの一部を桐チェストにリメイクするご注文です。、
京都の伏見のお客様ですが、年越しになりました。

こちらも、元は、桐たんすですが、表面の仕上げは、漆・溜塗りになる予定です。
昨年、秋に木地を製作し、今、漆の下地付けの作業をしている段階です。
アメリカ在住のお客様からのご注文です。やはり、年越しです。
正月は静かで、漆塗りの作業に適していますので、作業を進めておくつもりです。

箪笥の裏側です。広いので、下地を付けるのが大変です。

本体です。布を貼って下地を付けていますので、木の継ぎ目は分かりません。

引出しです。後で金具を取り付けるために、あらかじめ掘り込んでおきます。

漆塗りの小箪笥です。引出しだけの塗り直しです。
フランス在住のお客様のご依頼です。やはり、年越しです。

本体と同じように布目の模様を生かすための下地です。
色々なお客様の様々なご注文によって、いろんな仕事をさせて頂いております。
至らぬ事が多いのは、重々承知しております。
今年もどうか宜しくお願い申し上げます。
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