鉋、仕込み、石堂輝秀
今回は、鉋の話を少ししてみたいと思います。
ところで、「大工さんや、私共職人が使う刃物や、道具を見ますと、日本人は、発想がユニークで、個性豊かな人が多いなあ。」と、思うことが多いです。

さて、こちらは、鉋の刃と鉋の台です。
鉋の刃を買って、それに合わせて、鉋台を、台堀り屋さんに頼んで造ってもらいました

鉋刃は、石堂輝秀という銘柄です。
鉋鍛冶の石堂さんの先代(石堂秀雄さん)が、造られた鉋です。

前から使っている、古い鉋です。
こちらも、同じ石堂さんが作られた鉋です。
石堂さんが作られた鉋は、鉋の身が薄く、スリムで軽くて使いやすいので気に入っています。

鉋の刃を買って、鉋の台を造ってもらっても、そのまま、すぐに使えるわけではありません。
まず、鉋の刃を、金槌で少し叩いて、鉋の裏の刃先が、きっちりと砥石に当たるように修正し、

鉋の裏を真直ぐに砥いで、さらに表側も使い勝手に合わせた角度に研ぎ上げます。
この切刃の角度は、使う職人さんによって色々です。
ウチの仕事は、桐や、杉、桧など、柔らかい木を扱うことが多いので、私は、薄く鋭く研ぐことが多いです。

鉋には、裏金といって、簡単に言いますと、削る木の表面が逆剥けになるのを防ぐ役目の薄い鋼をつけることが、多いです。
これも鉋刃と二枚ペッタリ貼り付くように合わさるように表裏研ぎます。

台屋さんに掘ってもらった鉋台と鉋刃の様子です。
半分チョット位までしか、仕込まれていません。
後は、鉋を使う職人が、使い勝手や好みに合わせて、削って仕込むようになっています。

まず、鉋刃に鉛筆の芯の粉を擦りつけて、鉋台に軽く叩き込みますと、

鉋刃の当たるところに、黒く鉛筆の粉の色がつきます。
それを鑿で、ちょっとずつ削ることを繰り返して、鉋刃を鉋台に仕込みます。

鉋刃をチョット叩いて、鉋の刃先が台から出るようになったら、
鉋台の下端に定規(下端定規)を当てながら、

鉋の台の下端を削って調整します。
この鉋台の調整の仕方も、職人の鉋の使い方や、使い道、好みによって色々です。

石堂さんの鉋ですが、やっと仕込み終わりました。
こんなことをしていますと半日位は、すぐに過ぎてしまいます。
一寸した鉋を仕込むのは、ほぼ1日がかりです。

仕込みの終わった石堂鉋で、試しに一寸削って見ました。
一応、まあまあ、削れるようです。
もう一寸、使いながら、様子を見て調整をするほうがいいかもしれません。

こちらの鉋も、一緒に仕込みました。
先程の鉋と違って裏金を付けない仕立てです。

裏金をつけた鉋を二枚鉋と呼びます。
それに対して、裏金を付けない鉋を一枚鉋と呼びます。

この一枚鉋も石堂輝秀と打ってあります。
先程の二枚鉋と同じく石堂さん(石堂秀雄さん)作の鉋です。

一枚鉋は、逆目を止める裏金を付けない代わりに、
刃口をなるべく狭く調整して、逆剥けに削れてしまうのをを止めます。

鉋屑が、一枚通る隙間があったら良いようです。

こんな感じです。
私は、一枚鉋が好きで、よく使います。

小鉋ですが、元々は、二枚鉋に仕立ててあったのを買ったのですが、
仕込みの時に裏金を取って一枚鉋に仕立て使っています。

その時の刃口の調整の様子です。

今回仕込んだ鉋、石堂輝秀、二つです。
ところで、鉋の仕込みの様子をご覧頂いて分かるかと思いますが、日本の鉋は、最初は、半分位までしか出来上がっていません。
鉋に限らず、職人の使う道具は、大体こんな感じで、未完成のままで売っていて、それを買って、

後は、その道具を使う職人が、大層な手間ひまをかけて、自分なりに使える道具に仕立てたり仕込んだりします。
これは、チョッと、不親切のように思われるかもしれませんが、

実は、使う人の意向を尊重した結果です。
使う人の色々な好みや、使い勝手や、使い方を認めて尊んでいる訳です。
鉋の刃を作る鍛冶職人、鉋の台を作る職人さん、鉋を使って仕事をする職人さん、

この三者の組み合わせで、沢山の種類の鉋ができました。
最近では、先端のモノ作りでも、多品種、少量生産が流行りだしました。

でも、日本の職人さんたちは、そんなことを、随分昔からやっておりました。
日本の職人さん達の道具は、多品種で使う人の思いに合わすことができるようになっています。
和の本質というのも、案外こういうところにあるのかもしれません。
ところで、「大工さんや、私共職人が使う刃物や、道具を見ますと、日本人は、発想がユニークで、個性豊かな人が多いなあ。」と、思うことが多いです。

さて、こちらは、鉋の刃と鉋の台です。
鉋の刃を買って、それに合わせて、鉋台を、台堀り屋さんに頼んで造ってもらいました

鉋刃は、石堂輝秀という銘柄です。
鉋鍛冶の石堂さんの先代(石堂秀雄さん)が、造られた鉋です。

前から使っている、古い鉋です。
こちらも、同じ石堂さんが作られた鉋です。
石堂さんが作られた鉋は、鉋の身が薄く、スリムで軽くて使いやすいので気に入っています。

鉋の刃を買って、鉋の台を造ってもらっても、そのまま、すぐに使えるわけではありません。
まず、鉋の刃を、金槌で少し叩いて、鉋の裏の刃先が、きっちりと砥石に当たるように修正し、

鉋の裏を真直ぐに砥いで、さらに表側も使い勝手に合わせた角度に研ぎ上げます。
この切刃の角度は、使う職人さんによって色々です。
ウチの仕事は、桐や、杉、桧など、柔らかい木を扱うことが多いので、私は、薄く鋭く研ぐことが多いです。

鉋には、裏金といって、簡単に言いますと、削る木の表面が逆剥けになるのを防ぐ役目の薄い鋼をつけることが、多いです。
これも鉋刃と二枚ペッタリ貼り付くように合わさるように表裏研ぎます。

台屋さんに掘ってもらった鉋台と鉋刃の様子です。
半分チョット位までしか、仕込まれていません。
後は、鉋を使う職人が、使い勝手や好みに合わせて、削って仕込むようになっています。

まず、鉋刃に鉛筆の芯の粉を擦りつけて、鉋台に軽く叩き込みますと、

鉋刃の当たるところに、黒く鉛筆の粉の色がつきます。
それを鑿で、ちょっとずつ削ることを繰り返して、鉋刃を鉋台に仕込みます。

鉋刃をチョット叩いて、鉋の刃先が台から出るようになったら、
鉋台の下端に定規(下端定規)を当てながら、

鉋の台の下端を削って調整します。
この鉋台の調整の仕方も、職人の鉋の使い方や、使い道、好みによって色々です。

石堂さんの鉋ですが、やっと仕込み終わりました。
こんなことをしていますと半日位は、すぐに過ぎてしまいます。
一寸した鉋を仕込むのは、ほぼ1日がかりです。

仕込みの終わった石堂鉋で、試しに一寸削って見ました。
一応、まあまあ、削れるようです。
もう一寸、使いながら、様子を見て調整をするほうがいいかもしれません。

こちらの鉋も、一緒に仕込みました。
先程の鉋と違って裏金を付けない仕立てです。

裏金をつけた鉋を二枚鉋と呼びます。
それに対して、裏金を付けない鉋を一枚鉋と呼びます。

この一枚鉋も石堂輝秀と打ってあります。
先程の二枚鉋と同じく石堂さん(石堂秀雄さん)作の鉋です。

一枚鉋は、逆目を止める裏金を付けない代わりに、
刃口をなるべく狭く調整して、逆剥けに削れてしまうのをを止めます。

鉋屑が、一枚通る隙間があったら良いようです。

こんな感じです。
私は、一枚鉋が好きで、よく使います。

小鉋ですが、元々は、二枚鉋に仕立ててあったのを買ったのですが、
仕込みの時に裏金を取って一枚鉋に仕立て使っています。

その時の刃口の調整の様子です。

今回仕込んだ鉋、石堂輝秀、二つです。
ところで、鉋の仕込みの様子をご覧頂いて分かるかと思いますが、日本の鉋は、最初は、半分位までしか出来上がっていません。
鉋に限らず、職人の使う道具は、大体こんな感じで、未完成のままで売っていて、それを買って、

後は、その道具を使う職人が、大層な手間ひまをかけて、自分なりに使える道具に仕立てたり仕込んだりします。
これは、チョッと、不親切のように思われるかもしれませんが、

実は、使う人の意向を尊重した結果です。
使う人の色々な好みや、使い勝手や、使い方を認めて尊んでいる訳です。
鉋の刃を作る鍛冶職人、鉋の台を作る職人さん、鉋を使って仕事をする職人さん、

この三者の組み合わせで、沢山の種類の鉋ができました。
最近では、先端のモノ作りでも、多品種、少量生産が流行りだしました。

でも、日本の職人さんたちは、そんなことを、随分昔からやっておりました。
日本の職人さん達の道具は、多品種で使う人の思いに合わすことができるようになっています。
和の本質というのも、案外こういうところにあるのかもしれません。
お問い合わせは、こちらです。
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職人の手先、手道具

私の指先です。
指先の長い、器用そうな手先とは、正反対です。
子供に、「先っぽをぶつ切りにしたような指やなあ。」と言われたこともあります。

ただ、小学生の頃、図工の時間が好きで、先生によく褒められました。
でも、「上手い」とはあまり言われませんでした。
大抵は、「発想が面白い」とか、「元気があってよろしい」とかいった言われ方でした。

職人は、手先が器用であることに越したことはありません。
しかし、職人は、手先や、指先で仕事をするわけではありません。
職人の手先は、トンカチであったり、

鋸であったりします。
こういった手で使う道具が、職人の手先になります。

ですから、私共職人は、道具に、ほんのちょっと、気を使います。
例えば、トンカチ(金槌、ゲンノウ)は、玄能と柄を別々に買って、好みに合わせて、太めの柄を削って据えたり、

鋸も、高い物は買いませんが、鋸刃だけ買って、好きなように柄を造って仕込んだりします。

こちらは、鑿です。
仕事によって刃の研ぎ角を変えます。

こんな感じで使います。

ウチの仕事では、鉋は、よく使います。
鉋で削って、材料や、板を造ったり、

桐たんすの引出しや、引戸など鉋で削って、調整して、仕込んだりします。
こういう作業は、どうしても、鉋という、手道具に頼ることになります。

又、組み付けた物の表面を仕上げたりと、こういったことも鉋などの手道具が向いているようです。

鉋も、鉋の刃だけ買って台の長さや、刃の仕込み勾配など、使い勝手に合わせて台を別に誂えて、仕込みます。
鉋などの刃物は、案外、消耗品ですので、そんなに高級品ではなく、実用品の、良い物を買います。
気に入った道具ほど、よく使うので刃がチビてしまいます。

丸に削るカンナや丸い鑿、ちょっと変わった形の鉋や鋸なども、ちょっとした時使います。

漆塗りに使うヘラです。
ウチでは、漆塗りも、自分でしますので、このような漆塗りの道具も使います。

漆塗りに使う漆刷毛です。
人の髪の毛でできています。
漆刷毛を造る職人さんは、今はもう、日本に2人しかおられません。

漆刷毛は、こんな風に削り出して使います。鉛筆と一緒です。
こんな包丁や、小刀や鉋で、削り出し調整します。

漆箆も同じように、削り出して、しなり方を調整して使います。
漆のヘラもハケも段々と短くチビてきます。職人の使う道具は、値が張りますが、消耗品です。

ヘラは、布を貼ったり

さらに漆の下地を付けたり、材料を混ぜたり、練ったりと、漆塗りには、欠かせない道具です。
使い方によって、ヘラの調整も変わります。
職人は、モノの大きさや、形によって、材料の割合を変えたり、道具の調整を変えます。

箪笥の引出です。漆刷毛を使って朱漆を塗っているところです。
漆刷毛は、幅が1分から2寸まで(3mm~62mm)までありますが、ウチの仕事では幅の広い刷毛を多く使います。

箪笥の本体に、黒い漆を塗っているところです。
ウチでは、家具など大きいものや、広い面に漆を塗ることが多いです。
ウチの仕事に合うように、漆の調合や、漆刷毛の調整をします。

漆塗りの箪笥が出来上がったところです。
木地の作業から、漆の作業まで、色々な道具をよく調整して使いますと、
そしたら、器用でなくても、それなりの仕事ができます。

いろんな手道具が、指先や、手先になって仕事をします。
ところで、よく「えっ!、漆塗りまで、ご自分でなさるんですか!」とか、
「えっ!、木地も、ご自分で造られるんですか!」とか、びっくりして言われます。

このブログの記事を書いている時も、テレビ局の方から電話があって、
そのことでびっくりされて、「えっ!本当ですか!」と何度も聞かれました。
「はい、木地から、漆塗りまで、自分でする、一寸ずれた、職人です。」
お問い合わせは、こちらです。
職人気質の影で、鉋調整
今日は鉋についての話を少ししてみたいと思います。
簡単に言いますと、鉋は、手入れしなければ上手く削れません。
そして、鉋の手入れには、ちょっと手間がかかるという内容です。

カンナの刃は、刃先がきっちりと砥石にあたってよく研げるように、刃の裏側を裏すきといってすいてあります。
繰り返し何度も鉋の刃を研いでいるうちに、このように、裏切れといって、刃先の裏が砥石に掛からなくなってしまいます。

それで、鉋の刃を、反対の表側から叩いて、刃の裏側を、押し出します。

こんな風に、ぎっしりと、鉋の刃に叩いた跡がつくまで叩きます。
気長に、コンコンと、何回も、おそらくは、千回は超えると思いますが叩きます。

そうして、鉋刃の裏を研ぎますと、刃先だけスーと砥石が掛かって、このように、研ぎ上げることが出来ます。

別の鉋の刃ですが、同じように叩きだして研ぎました。
このように、鉋刃の裏を叩き出して研ぎ上げた形を糸裏と呼び、鉋の刃は、大変よく切れる状態です。

きっちりと研いだカンナの刃は、ホントに良く切れます。刃先に触れるだけで、ばっさりと何の抵抗もなく、切れます。
自分の指先を切っても傷みも感じません。いつの間にか血が出ていて、気付かされることもしばしばです。

鉋の刃を研いで短くなった分、鉋台の仕込みの堅さも少しきつくなりますので、鑿でちょっとさらえて、微妙にゆるめて調整をします。
鉋刃の仕込が堅いと、鉋台から刃先を少し出したときに、鉋台が微妙に反って狂うからです。

鉋台の下端も使っているうちに磨り減ったりして、少しずつ狂ってきますので、台直し鉋という特殊な鉋で、横摺りして削って平らになるように調整します。

これは、長台カンナと言って、正確にまっすぐに削るための鉋です。
今回は、この3台の鉋を調整しました。いつも2台~4台位の鉋をセットで使っていますので、調整の時期も重なってしまうことが多く、大変です。

他にも、このような色々なかんなを調整しました。

そこそこ手間をかけ、調整しますと、鉋は、機嫌よく削れます。
ホントのことを言いますとカンナの調整には、結構時間が掛かります。
特に何台かまとめてこれだけの数の鉋を調整するとなると、ホントにかなりの手間と時間が掛かります。

でも、私を含めて職人は、鉋の調整に時間が掛かったとか、手間を食ったとかは、あまり口にはしません。
職人にとって、時間や、手間がかかると言うのは、腕が悪いと自分で言っているようで、カッコ悪くて恥ずかしからです。

職人は、きちんと、きっちりと、正確に、それでいて、早く出来てこそ、腕がよくて、お金がもらえるのです。
ですから、職人の「朝飯前のひと仕事」は、実は、暗いうちからであったりします。

おそらく大抵の職人は、ホントは、仕事で、四苦八苦し、予想以上に手間取る時が、案外多いのではないかと思います。
そんな時に限って、職人は、素知らぬ顔でトボケているものです。
特に、お客様の前では「大したことないです。」とか「それほどでもなかったですよ。」とか言って、適当にカッコをつけて、取り繕ってしまうことが多いものです。

ただ、お客様の方で、なんとなく察してしまわれるといいますか、お察し下されることも、私共、職人が考える以上に多いように思います。
職人は、単純で困ります。

職人の「大したことないです。それほどでもないです。」は、実は、ホントは「大したことある。」事が多いので厄介です。
職人気質の影で、職人の嫁は、泣いております。
簡単に言いますと、鉋は、手入れしなければ上手く削れません。
そして、鉋の手入れには、ちょっと手間がかかるという内容です。

カンナの刃は、刃先がきっちりと砥石にあたってよく研げるように、刃の裏側を裏すきといってすいてあります。
繰り返し何度も鉋の刃を研いでいるうちに、このように、裏切れといって、刃先の裏が砥石に掛からなくなってしまいます。

それで、鉋の刃を、反対の表側から叩いて、刃の裏側を、押し出します。

こんな風に、ぎっしりと、鉋の刃に叩いた跡がつくまで叩きます。
気長に、コンコンと、何回も、おそらくは、千回は超えると思いますが叩きます。

そうして、鉋刃の裏を研ぎますと、刃先だけスーと砥石が掛かって、このように、研ぎ上げることが出来ます。

別の鉋の刃ですが、同じように叩きだして研ぎました。
このように、鉋刃の裏を叩き出して研ぎ上げた形を糸裏と呼び、鉋の刃は、大変よく切れる状態です。

きっちりと研いだカンナの刃は、ホントに良く切れます。刃先に触れるだけで、ばっさりと何の抵抗もなく、切れます。
自分の指先を切っても傷みも感じません。いつの間にか血が出ていて、気付かされることもしばしばです。

鉋の刃を研いで短くなった分、鉋台の仕込みの堅さも少しきつくなりますので、鑿でちょっとさらえて、微妙にゆるめて調整をします。
鉋刃の仕込が堅いと、鉋台から刃先を少し出したときに、鉋台が微妙に反って狂うからです。

鉋台の下端も使っているうちに磨り減ったりして、少しずつ狂ってきますので、台直し鉋という特殊な鉋で、横摺りして削って平らになるように調整します。

これは、長台カンナと言って、正確にまっすぐに削るための鉋です。
今回は、この3台の鉋を調整しました。いつも2台~4台位の鉋をセットで使っていますので、調整の時期も重なってしまうことが多く、大変です。

他にも、このような色々なかんなを調整しました。

そこそこ手間をかけ、調整しますと、鉋は、機嫌よく削れます。
ホントのことを言いますとカンナの調整には、結構時間が掛かります。
特に何台かまとめてこれだけの数の鉋を調整するとなると、ホントにかなりの手間と時間が掛かります。

でも、私を含めて職人は、鉋の調整に時間が掛かったとか、手間を食ったとかは、あまり口にはしません。
職人にとって、時間や、手間がかかると言うのは、腕が悪いと自分で言っているようで、カッコ悪くて恥ずかしからです。

職人は、きちんと、きっちりと、正確に、それでいて、早く出来てこそ、腕がよくて、お金がもらえるのです。
ですから、職人の「朝飯前のひと仕事」は、実は、暗いうちからであったりします。

おそらく大抵の職人は、ホントは、仕事で、四苦八苦し、予想以上に手間取る時が、案外多いのではないかと思います。
そんな時に限って、職人は、素知らぬ顔でトボケているものです。
特に、お客様の前では「大したことないです。」とか「それほどでもなかったですよ。」とか言って、適当にカッコをつけて、取り繕ってしまうことが多いものです。

ただ、お客様の方で、なんとなく察してしまわれるといいますか、お察し下されることも、私共、職人が考える以上に多いように思います。
職人は、単純で困ります。

職人の「大したことないです。それほどでもないです。」は、実は、ホントは「大したことある。」事が多いので厄介です。
職人気質の影で、職人の嫁は、泣いております。
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職人の恥じらい、隠し蟻組
本日は、恥ずかしながら私の道具をちょっと紹介してみたいと思います。
隠し蟻組を造るために自分で造ったり、仕立てたりした、ちょっと変わった道具です。

これは、留型木口台というものです。
留型というのは、斜めの45度のことです。

こんな感じで木口を、斜め45度に削るための治具です。

こちらは、隠し蟻組をほるための鑿です。
普通の鑿と違って、斜めや三角に仕立てます。
普通の鑿から、仕事や、自分の使い勝手に合わせて、ヤスリやグラインダーで造ります。

こんな感じで、斜め掘るのに使います。

しのぎが三角の鑿は、こんな感じで、使います。

鑿を使って、桜の机の大きな隠し蟻組を造るところです。

桜は、硬いので、刃先を鈍角に研ぎます。
逆に、桐等、柔らかい木には、刃先を鋭角に研がないと切れません。

こちらは、普通の鑿を使っているところです。

隠し蟻組の留型を削るための定規をつけたカンナです。

こういった定規は、仕事に合わせて造ります。

こんな感じで、留型の木口台と合わせて斜め削ります。

大きな桜の机の、隠し蟻組の留型を削っているところです。

隠し蟻組の加工ができました。
こうやって、自分の拙い仕事をお見せするのは、職人として、実は大変恥ずかしいものです。

自分の道具を見せるのも、私を含めて職人は嫌がります。
使う道具で、どれくらいの仕事ができるか、腕がわかるから、恥ずかしわけです。
ですから、本当は、自分の道具をお見せするのもお恥ずかし限りです。

でも、たくさんの人に、自分の仕事を見てもらいたいという気持ちも職人は必ず持っています。
腕を自慢したいわけです。職人は困ったものです。
ですから、隠し蟻組になるわけでです。
「恥ずかしいて、見られたない。でも中は、こんなんや、どんなもんや!。」というわけです。
隠し蟻組を造るために自分で造ったり、仕立てたりした、ちょっと変わった道具です。

これは、留型木口台というものです。
留型というのは、斜めの45度のことです。

こんな感じで木口を、斜め45度に削るための治具です。

こちらは、隠し蟻組をほるための鑿です。
普通の鑿と違って、斜めや三角に仕立てます。
普通の鑿から、仕事や、自分の使い勝手に合わせて、ヤスリやグラインダーで造ります。

こんな感じで、斜め掘るのに使います。

しのぎが三角の鑿は、こんな感じで、使います。

鑿を使って、桜の机の大きな隠し蟻組を造るところです。

桜は、硬いので、刃先を鈍角に研ぎます。
逆に、桐等、柔らかい木には、刃先を鋭角に研がないと切れません。

こちらは、普通の鑿を使っているところです。

隠し蟻組の留型を削るための定規をつけたカンナです。

こういった定規は、仕事に合わせて造ります。

こんな感じで、留型の木口台と合わせて斜め削ります。

大きな桜の机の、隠し蟻組の留型を削っているところです。

隠し蟻組の加工ができました。
こうやって、自分の拙い仕事をお見せするのは、職人として、実は大変恥ずかしいものです。

自分の道具を見せるのも、私を含めて職人は嫌がります。
使う道具で、どれくらいの仕事ができるか、腕がわかるから、恥ずかしわけです。
ですから、本当は、自分の道具をお見せするのもお恥ずかし限りです。

でも、たくさんの人に、自分の仕事を見てもらいたいという気持ちも職人は必ず持っています。
腕を自慢したいわけです。職人は困ったものです。
ですから、隠し蟻組になるわけでです。
「恥ずかしいて、見られたない。でも中は、こんなんや、どんなもんや!。」というわけです。
お問い合わせは、こちらです。
職人の逃げ、隠し蟻組

桐たんす等の引出しの前板を組み付けたりするのに使う組手です。

包み蟻組みと呼ばれます。

こちらも、桐たんす等の組み付けに普通に使われる組手で、通し蟻組みと呼ばれます。

これらの木組みは、組手の様子が外からよくわかります。

こちらも桐材ですが、隠し蟻組と呼ばれます。

外からアリ組が見えません。
この隠し蟻組は、たまに桐たんすでも使われているのを見かけますが、どちらかというと、桜材や、桑材、ケヤキ等、堅木の組付に使われます。

こちらは、桜の机の天板の隠し蟻組を作っている様子です。

桜の机の隠し蟻組の加工が終わりました。

桜の机の組立の様子です。隠し蟻組がとんがって見えます。
隠し蟻組は、手間がかかって高級な造りと言われたりしますが、実は、外から見えないので、それほど気を使う仕事ではありません。

組立が終わりました。
堅木は、桐や、檜などの、柔らかい木と違って、少し甘めに、組手を作らないと、木が割れてしまいます。
甘めに、組手を造ると、多少組手のあいだに隙間が目立つこともあります。

でも隠し蟻組ですと外から見えないので職人としては助かります。
わざわざ、アリ組を隠して、手の込んだ隠し蟻組にするのは、本当は職人の逃げなのです。
お問い合わせは、こちらです。